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祖父から息子へ孫へと継ぐEM栽培による「持続可能な農業」

神奈川県三浦市で露地野菜を200年以上作り続けている農家の川島さんご家族を取材いたしました。

江戸時代から代々、三浦半島で露地野菜を200年以上作り続けている農家で、祖先は近くの三崎港から船で江戸幕府へ大根を献上していたそうです。

EM菌を使った安全な土作り

祖父の勝徳さんは、1992年の三浦半島での生産者向けEM勉強会をきっかけに、安全、かつ食べて健康になる野菜作りを目指し、EM(有用微生物群  ※通称:EM菌)を使った土作りにこだわってきました。
 
​根菜類を栽培する生産者は、作物の商品価値を低下させる害虫「センチュウ」の駆除対策として「土壌くん蒸剤」を必ず使用して、良い菌も悪い菌も全滅をさせてから播種を行いますが、川島さんたち三浦半島EM研究会では、安全な食や環境にやさしい農業を実践するために会の規約として、畑への除草剤や土壌くん蒸剤の使用を禁止しています。

そこで、川島さんたちはセンチュウの抑制効果があるマリーゴールドを植え、畑に漉き込むことでセンチュウの密度を減らしています。EMを使って土壌中に有用な微生物を増やすことにより、病害虫が抑制されやすい環境を作っています。

食品残渣を微生物の力で資源化する

畜糞などを利用した堆肥を作る場合は、三浦半島では畜産業が盛んではないため県外から輸送をする方法しかなく、製造コストが障害となっていました。

そのような状況の中で発見をしたのが、地元の飲料メーカーが廃棄をしていた『コーヒーかす』と『緑茶がら』でした。企業にとっては、やっかいなゴミ(食品残渣)も、勝徳さんからすると宝の山に見えたことでしょう。SDGsという言葉がない20年も前のことだそうです。

それ以来、捨てられるはずの植物性残渣にしっかりとEM活性液を混ぜ合わせて発酵させた上質な自家製堆肥を3ヘクタールもの広大な畑に元肥として使用しています。

マグロの切りくずをEMボカシ作りに活用

三浦半島の最南端にある三崎港は、マグロの水揚げ量が全国でもトップクラス。三浦市は日本有数のマグロの町として栄えてきました。

息子の義徳さんは、地元マグロ加工会社から出るマグロの切りくず(加工残渣)を農業に活用できないかと模索し、2013年にマグロ粉をEMで発酵させペレット状の自家製ボカシを完成させました。

加工会社から出るマグロ残渣の量からすると、川島さんの畑で活用できる量は微々たるものかもしれませんが、三方を海に囲まれる三浦半島の地で農業を営むからこそ、農業排水は海に流れていくため、少しでも化学肥料を使用しない環境に優しい農業に取り組んでいます。

 

大根の廃棄処分量がゼロ

川島さんの大根は生鮮食品として生協に出荷される他、大手外食チェーン向けのカット大根やたくわんに加工され市場に出荷されています。

天候や流通需要により商品として出荷できない状態のものは加工用に回すなど調整が利くため、廃棄処分量※がゼロというすばらしい結果を出しています。

※ 通常の農家では規格外などの出荷制限があるため生産量の2〜3割が廃棄されています。

魅力ある農業への挑戦

農家の後継者不足で耕作放棄地が増え続けている三浦半島で、2019年6月に息子の義徳さんは魅力がある農業を目指す三代のファミリー企業として『川島農園』を法人化し、社名を『株式会社 丸徳農産』と改めました。

今年、三代目が試みたことは、大根種の一粒植え付けと間引き作業をなくしたことでした。「大きな賭けでしたが、労力の省エネです。」と楽しそうな会話に、持続可能な新たな農業に挑もうとする若い世代の心意気を感じました。

かつては人糞という肥料が当たり前だった江戸時代から続く大根農家の子孫として、将来は日本の農業界で未開発の部門でもある、汚泥肥料を使った栽培にも注目していく予定なのだとか。

智徳さんと龍浩さんの二人の未来への挑戦は、まだ始まったばかりです。
 川島さんからの農業アドバイス  

◎虫除けや駆除効果のある「マリーゴールド」を植えてみよう。

①マリーゴールドは、根菜類作物に悪さをするセンチュウという害虫の駆除効果のある花です。センチュウはマリーゴールドの根の中では増殖できず死滅するので、マリーゴールドを畑に漉き込むことで土中のセンチュウの密度を減らすことができます。

②マリーゴールドは、虫除けや駆除効果を発揮するコンパニオンプランツ。トマト、ナス、キュウリなどの天敵となるアブラムシやコナジラミは、マリーゴールドの香りが苦手です。野菜の株間や畝の間などにマリーゴールドを一緒に植えておくと、害虫を遠ざける効果が期待できます。

③米ぬか・魚粉・生ごみ堆肥・EM 活性液を畑にたっぷりまくことで土壌中に有用な微生物が増え、作物に悪さをする病害虫も抑制されていき、元気な野菜を育てることができます。
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