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Dr.岡野寛のEM健康アドバイス 「体の健康を整える」 ~「菌ケア」と「バイオティクス」のお話~

今回は、毎日の健康をどのように維持したらよいか、「菌ケア」と「バイオティクス」のお話を伺いました。

「菌ケア」には「発酵食品」が大事

今回は、毎日の健康をどのように維持したらよいか、「菌ケア」と「バイオティクス」のお話を中心にいたしましょう。

まず、美容と健康のために、良質な食事をバランスよく摂ること、適度な運動、そして良質な睡眠によって生活リズムを整えることが大切です。
  
腸管には約数百兆の菌が生息していて、その重さ、なんと1.5㎏〜2㎏。これらを顕微鏡で見ると、お花畑(flora:フローラ)に似ていることから「腸内フローラ」と呼ばれています。

フローラを構成する細菌は、おおまかに「善玉」、「悪玉」、「日和見(ひよりみ)」の三種類。腸内で有益に働く善玉、有害に働く悪玉、そしてどちらにも属さない日和見があります。

これら三種類のバランスは「2対1対7」が理想的ですが、悪玉が増えてフローラのバランスが乱れると、体によくない影響をもたらします。ですから、毎日の食生活を見直し、フローラを整えることが大切です。
 
ここで「発酵食品」が関与してきます。「菌ケア」は、発酵食品を毎日摂るのがポイントですが、食物繊維やオリゴ糖を含む食品を合わせて摂ることで、善玉菌が育ち、より効率的に健康を維持してくれるのです。

ですから、海藻やキノコ類、果物、野菜( 大豆、玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、アスパラガス) といった善玉菌のエサになる食品も、できるだけ一緒に摂るようにしましょう。
 

「菌ケア」と「バイオティクス」

そして次に、「菌ケア」に必要な「バイオティクス」のお話です。「バイオティクス」には大まかに三つ「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」「バイオジェニックス」があります。

 まず、「プロバイオティクス」とは、『生菌として摂取し、フローラのバランスを改善し、健康に有利に働く細菌や酵母』で、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌などの生菌やヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料がここに入ります。ですから、発酵食品に含まれる菌のことですね。
  
 そして、「プレバイオティクス」は、『フローラのバランスを改善する難消化性食品成分』で、オリゴ糖、食物繊維などがこれに該当します。つまり腸内の善玉菌を支える材料のことです。
 
最後の「バイオジェニックス」は、『腸内フローラを介することなく、直接生体に作用し、「菌ケア」に働く食品成分で、乳酸菌体ペプチド、乳酸菌生産生理活性ペプチド、植物フラボノイド、DHA、EPA、ビタミンA・C・E、β- カロテン、CPPなどの食品成分』が該当します。
 
 最近は、このバイオジェニックスの活用が脚光を浴びています。バイオジェニックスは、できるだけ自然なかたちで栽培育成された野菜やお肉に多く含まれる傾向があります。 
  
「菌ケア」に働くビタミンCなどの水溶性ビタミンをはじめ、脂溶性ビタミンやβ- カロテンも慣行農法より含有量が多い傾向があります。
 
このように「菌ケア」には、良質の食事が大事。良質とは、できるだけ自然に近いかたちで育てた食材のことです。
それらを使った発酵食品で、ぜひ皆さまにも「菌ケア」をお勧めします。


※CPPとは(カゼイン・ホスホ・ペプチド)カゼインという乳たんぱく質から抽出されるたんぱく質の一種です。消化吸収がしやすく体内での利用効率が高いと言われています。

菌ケア」と「バイオティクス」のお話 』まとめ

「菌ケア」は、良質な食と運動、睡眠で。
 
 発酵食品利用して、体(からだ)整い超快調。
 
バイオ(自然)のチカラ摂り入れて、今日も元気だ腸内細菌。
 
たまには「腸」を休ませて「菌ケア」しましょう「リセット」で。

医師(産業医) 岡野 寛(カン)氏

東京出身。東京慈恵会医科大学にて研修。浜松医科大学心療内科勤務、亀田リハビリテーション病院後期研修、沖縄県中部地区医師会健診センターストレスチェック制度立ち上げに関わる。現EM グループ産業医。「こころから研究所」代表。専門領域:心療内科登録認定医・リハビリテーション認定医・東洋医学・経絡治療(鍼)・日本医師会認定産業医・健康経営アドバイザー。
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