• #メーカー特集

「無添加」のこだわりで健康と環境を守り続けるシャボン玉石けん

「青いお空がほしいのね~♪飛ばしてごらん シャボン玉♪」のCMでおなじみのシャボン玉石けん株式会社。
2010年2月で創業100周年を迎えた今、「健康な体ときれいな水を守る」という理念のもと次の100年に向けた石けんへの想いを取材してきました。

<Font Size="3" color="#51B033">森田隼人社長。先代(写真左)の後を継ぎ、若い力で次の100年を目指します。</Font>

何も加えない、を貫いて。 ~森田社長が語る、石けん作りの信念~

環境問題への関心の高まりや化学物質の害への認識の広がりから、ここ15年程で「シャボン玉石けん」の名前を広く皆様に知って頂けるようになった気がします。今でこそ「無添加」を銘打った商品は巷にたくさん出ていますが、中には「これが無添加 ?」と疑問符がつくものもあります。

現在の法律では「“着色料”無添加」や「“蛍光剤”不使用」など、“何が”添加されていないかを表記しなければ無添加をうたえなくなっています。ですが、“何が添加されているか”という前に、“添加される元(ベース)”がそもそも安全かどうかが問題だと思います。ちょっと乱暴な例えですが、「100%無添加の農薬です」というのと、「このお茶には砂糖が添加されています」というのでは、どちらが安全なものかはすぐわかりますよね。

私たちはあくまでも「石けん」をベースに考えています。石けん素地になるのは苛性ソーダ※1と天然油脂。当社の石けん職人は五感をフル活用して石けん作りをします。時には、仕上がり状態を舌で確認することもあります。それだけ安全な原料を厳選しているのです。

また、油脂は酸化しやすいため、石けん素地を作る際には酸化防止剤を入れているメーカーも少なくありません。しかし、それはキャリーオーバー※2として商品には表示されていないため、「無添加」のように見えるだけです。我々の工場には、年間1万人もの人が見学に訪れていますが、以前、油脂の商社の方がいらした時、石けん素地の天然油脂の中に何も入れていない様子を見て「本当に無添加なのは、シャボン玉さんだけかもしれないですね」と、驚かれていました。

ベースが安全であること、そして余計なものを何も加えないこと。私たちは、これからも徹底して無添加石けんにこだわり続けます。


※1 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)とは、海水から作られる強アルカリ性の固体で、幅広い産業で利用されており、石けん作りにも欠かせない原料です。強アルカリ性を示すため、劇
薬として取り扱いが厳しく制限されていますが、シャボン玉石けんでは、長年の経験とノウハウにより、安全性を実現しています。

※2 キャリーオーバーとは原材料からエキスを抽出する際に使用する薬品や、防腐剤や酸化防止剤など成分を安定化させる目的で使用される添加物のこと。2001年より化粧品の成分は全成分の表示が義務付けられましたが、キャリーオーバーの成分は表示しなくてもよいということになっています。

本物の石けんは職人技の 釜炊きから生まれる!

石けん釜炊き一筋!18歳から石けんづくりに携わり、シャボン玉石けんの歴史とともに歩まれた工場スタッフの方は、「シャボン玉石けんに出会えたことは、人生で1番の幸せですね。」と笑顔で語ります。

「私は昔から不器用でね。頭のいい友達や器用な子は色々なことをしていたけれど、私には石けんづくりしかありませんでした。でも、この年になっても元気で働いていられることにとても感謝しているし、自分が作った石けんが多くの人の肌に触れて、喜んでもらえると思うと、この仕事をしてきて本当に私は幸せ者だなと思います」。

肌つやがよい、工場スタッフの方々。その秘訣は石けんづくりに必要な「五感」を大切にしてきたからではないでしょうか。工場の中はタンクや撹拌機など機械化は進んでいるものの、ケン化法※3に欠かせないのは熟練の技。丁寧に原料を釜で炊きこみながら目で様子を確かめ、混ざる音を聞き、臭いを嗅ぎ、触れて、舌で味をみることで、質の良い石けんが生まれるのです。

「石けんをなめる」と聞いて驚く方もいらっしゃるのかもしれませんが、それは、シャボン玉石けんが口に入っても安全な原料で作られていることの証。苛性ソーダ自体は劇薬ですが、化学反応によって無害化されます。ケン化法により1週間かけてじっくりと釜炊きされた石けんには天然の保湿成分(グリセリン)が残っています。EM石けんの開発当初、比嘉照夫教授も釜の石けんを口に運び、思わず「うん!おいしい!」とおっしゃっていたそうです。

いい石けんづくりのポイントは、苛性ソーダと油脂がより細かく、密に反応することだそうです。工場スタッフの方は石けんの原料が溶け合っていく様子を「苛性ソーダは男性、油脂は女性、うまく溶け合って愛の結晶のグリセリンができます。EMを石けんづくりに使用すると、うま~く反応が進みますよ。まるで、男女の仲を取り持っている仲人みたいですね」と説明してくれました。

※3 ケン化法とは、大きな釜で天然油脂に熱を加えながらゆっくりと苛性ソーダ(液体は苛性カリ)を反応・熟成を繰り返して石けんをつくる方法です。これに対して、4~5時間でできる 「中和法」という大量生産方式でつくられた石けんには保湿成分であるグリセリンが含まれていません。  
  • 写真(左)福岡県北九州市若松区にあるシャボン玉石けん株式会社の工場。 <br>写真(中)工場内のいたる所にイメージキャラクターの「シャボンちゃん」が。 <br> 写真(右)苛性ソーダと天然油脂をタンクの中で反応させている様子。工場の中はほんのり油のいい香りがしました。
  • 写真(左)型抜きされ、シャボンちゃんのしるしがされた固形石けん。 <br>写真(中)浴用のシャボン玉 EM石けん。<br> 写真(右)オートメーション化された倉庫。奥行きが40mあり、ここから全国に発送されます。

体のため、環境のために 石けん普及に取り組む

「自分が使っているものが合成洗剤であることに気づいていない方が、意外と多いですね。“石けん※4”と名のつく商品のものでも、裏のラベルを見れば“合成洗剤※5”というものがあります。シャボン玉の石けんシャンプーで髪を洗って毛が生えることはありませんが、化学合成されたシャンプーで毛が抜けることはあります。畑に除草剤をまくのと同じことを体にしていることに気づいてほしい。健康な体ときれいな水を守るために、まず家庭の中の洗剤・シャンプー類を見直してもらい、石けんの良さを知って、数ある石けんの中からシャボン玉石けんを選んでいただければ嬉しいです。そのためにも、私たちはこれからも世の中に訴え続けていこうと思っています」と、使命感に燃える森田社長。

現在、同社では、産学官連携により「無添加石けんを科学する」として数々の研究やデータの蓄積を行っています。ユーザーからの声を研究に反映させ、日々進化を遂げるシャボン玉石けん。次の100年に向けての取り組みはすでに始まっています。

※4 「石けん」とは天然の動植物性の油脂に苛性ソーダ(液体は苛性カリ)を反応させたもの。
※5 「合成洗剤」は石油分解ガスから化学的合成された合成界面活性剤を主成分とする。
取材:2010年9月
関連する読みもの