• #EMコラム

EM菌のガードマン!乳酸菌のチカラの巻

EM(有用微生物群)を構成する主要な微生物のひとつ乳酸菌。 EMの中では、仲間の光合成細菌や酵母を悪い微生物から守る働きをしています。


※EM(通称:EM菌*)はEffective(有用な)Microorganisms(微生物たち)の英文の頭文字に由来しています。その名の通り、特殊なひとつの菌ではなく、乳酸菌や酵母、光合成細菌など、どこにでもいる微生物で、人間にとっていい働きをしてくれる微生物の集まりです。
「EM菌」という菌は存在せず、EM中の微生物の集合体の総称として広く使われています。

乳酸を生成する乳酸菌

ヨーグルトやチーズ、バターなどの発酵食品ではよく耳にする乳酸菌ですが、乳酸菌とは、その名の通り、「乳酸」を生成する菌のことです。特定の菌を示すものではなく、数百種類もある菌の総称です。エサとなる糖類を分解する段階で乳酸が発生しますが、乳酸菌は通常、分解した糖類から50%以上の割合で乳酸を生成する菌と定義されています。

微生物が乳酸やクエン酸などの有機酸を生成する事は、フランスの化学者でもあり微生物学者でもあったパスツール(1822~1895)が、1850年代に乳酸菌による乳酸発酵を発見したことに始まります。研究の分野でも人類と付き合いの長い微生物のひとつです。

乳酸で雑菌と嫌なニオイをシャットアウト

例えば、漬物で乳酸菌が乳酸をつくると、漬物全体の水素イオン濃度(pH)が下がり、食中毒を起こすような細菌が生きていけない、もしくは増殖することができない環境になります。一般に、pH3.5以下では、病原細菌の生育は起こらないとされていますが、同じpH値の場合は、塩酸などよりも、乳酸や酢酸のような有機酸の方が細菌の増殖阻止効果が強いことが知られています。

滋賀県の鮒ずしに代表される熟(なれ)ずしは乳酸発酵の代表的な食品で、魚特有の臭みは有機酸の働きによって消されます。発酵により、ビタミンなどの有用物質も多く産生するため、栄養学的にも保存食としても魅力的な食品へと変わるのです。

EM活性液の完成の目安としてpH3.5以下という基準があるのは、万が一、口に入っても衛生上の問題がなく、その他の雑菌が繁殖しにくい環境を整えられているからです。また、EMによる悪臭軽減は、乳酸菌の生成した有機酸の中和作用によるものがほとんどです。悪臭物質は、大半がアルカリ性で、酸性の有機酸を散布することで瞬時にニオイが消えます。

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様々な分野で活躍する乳酸菌

乳酸菌と聞いて最も一般的なのはヨーグルトですが、日本人になじみの深いぬか漬けや醤油・味噌づくりでも活躍していて、中には医療や工業製品に利用されている乳酸菌もいます。

農業や畜産分野でも、発酵肥料やサイレージ(家畜のエサ)をつくる際に乳酸菌は活躍しています。乳酸菌は約40度の最適条件で、米ぬかや油粕、魚粉などの良質の有機物で微好気的(空気が少しある状態)に培養すると爆発的に増殖する性質があります。乳酸菌が増殖するような管理を続けると、有機物が少ない場合に、有機物(栄養分)が乳酸菌によって分解されすぎてしまい、土の力が低下することがあります。

そうしないために、酵母や光合成細菌、ラン藻類など、土の中で栄養分をつくりだす微生物が必要です。多くの微生物は乳酸の殺菌作用によって抑制されてしまいますが、光合成細菌や、酵母は乳酸菌と共生できる性質を持っています。そのため、光合成細菌・乳酸菌・酵母を主体とするEMで米ぬかや魚粉などの有機物を発酵させたEMボカシは、優れた肥料効果と発酵促進効果があります。EMボカシやEM活性液は広く農業利用されていて、土は栄養分の分解と合成をくり返しなが豊かになり、作物がよく育ちます。このような土の状態を「発酵合成型土壌」といい、農業には理想的な土の状態になります。